nuno no tabi|04 形ではなく所作で変わる布 — 羽と結

zen no ma|nuno no tabi

布には、決められた役割はありません。

タオル、ストール、クロス。
その名前は、あとからつくられたもの。

本来の布はもっと自由で、
暮らしと呼吸する存在でした。

zen no ma の布には、
「用途」という言葉はありません。

あるのはただひとつ。

使う人の所作で、布が姿を変えるということ。

羽(haku)は、まとうための布。

肩に掛けるだけで空気がやわらかく動き、
身体のまわりに静かな温度が生まれます。

湯上がりでは水を静かに吸いとり、
旅では風をやさしく受けとめる。

広げれば敷布になり、
重ねるだけで空間が整う。

折るのでも、縛るのでもなく、
ただ 置く という行為が、
静けさをつくります。

結(yui)は、想いを包む布。

ただの布が、
誰かのために結ばれた瞬間、

そこに距離ではなく、
気配が生まれます。

贈るときも、ほどくときも、
音がしないこと。
手が迷わないこと。

それが、この布がもつ、
小さく美しい礼儀です。

羽と結。
名前は違っても、辿り着く答えは同じ。

布は形ではなく、所作で意味を持つ。

そしてその所作は、
暮らしの速度を変える力を持っています。

すぐに使うものではなく、
選んで触れるもの。

折りながら思い出し、
手渡しながら祈るもの。

zen no ma の布は、
使われるほどやわらかく育ち、
やがて、その人の時間そのものになります。

次は最後。
布と暮らすこと、育つということについて書きます。

zen no ma

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