nuno no tabi|03 織り — ゆっくり織る布のリズム
◯
zen no ma|nuno no tabi
布には、呼吸が宿っています。
速く織られた布には、
忙しさの余韻が残り、
ゆっくり織られた布には、
静けさの呼吸が流れています。
zen no ma の布は、
昔ながらの織機で、ゆっくりと織られています。
それは効率のためでも、
糸を守るためでもなく、
急がないことでしか生まれない
柔らかさを大切にしているからです。
現代の速い織機では、
糸に強いテンションがかかり、
真っすぐ、硬く、均一に仕上がります。
それはそれで美しさがありますが、
そこには、“余白”がありません。
昔の織機は、
まるで息をするように動きます。
糸の間にふくよかな空気が入り、
布全体に、わずかな揺らぎが生まれます。
この揺らぎは、不完全さではなく、
布が呼吸している証。
そして触れると、
やわらかい静けさを感じます。
手に取るとすぐにわかります。
この布は、ただ織られたのではなく、
時間と呼吸が重ねられているということを。
織りが整いすぎていないその表情は、
完璧とは違う美しさ。
自然と似たバランス。
人の暮らしに寄り添う形。
zen no ma が求め続ける
“呼吸する布”は、
速さでは生まれません。
ゆっくり。
淡々と。
ぶれないリズムで織られた布。
その速度こそが、
心に触れるやわらかさを生むのです。
次は、「羽」と「結」。
布が形ではなく、使う人の所作で変化する理由について書きます。