nuno no tabi|余白

zen no ma|nuno no tabi

nuno no tabi|余白

布は、速く織ることもできます。

速さは、いまの時代では、
ごく自然な選択です。

けれど、この布は、
百年以上、織ることだけを続けてきた
ひとつの織元で生まれました。

糸に強い力をかけず、
急がせることもしない。

昔ながらの織機で、
空気を含ませるように、
ゆっくりと。

その、わずかな余白が、
布にやわらかさと奥行きを残します。

ここでしか織ることのできない布。
今の時代では、もう織ることが叶いません。

一見すると、コットンとは思えない表情。
どこかリネンのようで、
けれど、日本の空気をまとった布。

触れるほどに。
使うほどに。
角が取れていきます。

洗い、乾かし、
また使う。

その繰り返しの中で、
少しずつ、その人に馴染んでいく。

それは劣化ではなく、
育ち。

毎日、たくさんの情報に触れ、
目まぐるしく過ぎていく日々の中で。

気づけばそこにあり、
無意識に手を伸ばしてしまう。

そんな時間の中に、
そっと寄り添う布であれたら。

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zen no ma

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