nuno no tabi|はじまり
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zen no ma|nuno no tabi
nuno no tabi|はじまり
布には、言葉より深い記憶があります。
身にまとうあたたかさ。
水を拭ったあとの気配。
そっと結ばれた想い。
それらは、薄れるのではなく、
時間とともに馴染み、育っていきます。
なぜ、布からはじめるのか。

理由は、はっきりと言葉にできません。
ただ、気づけばそばにあって、
ないと少し落ち着かない。
触れると、そこにあると、
安心する。
そんな記憶が、
わたしたちの中に残っているからです。
zen no ma にとって布は、
素材であると同時に、
気づけば手に取ってしまう存在。
布には、いくつもの表情があります。
強い表情。
やわらかな表情。
そして、
時間がつくる静かな表情。
選んだ布は、
水と蒸気だけで、ゆっくりと整えられます。
数日、釜の中で眠るように。
急がず、焦らず。
糸が、本来の姿へ戻っていく時間。
清らかさより、深さ。
均一さより、余白。
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