NEW ARRIVALS – MARIA RUDMAN Mariaさんとの思い出(後編)

今年の春も、MARIA RUDMANのCLASSIC COLLECTIONとSILVER COLLECTIONがBORDEAUXに届きました。

BORDEAUXでMariaさんのアクセサリーを取り扱わせてもらうようになって、10年以上が経ちます。

前編ではMARIA RUDMANの作品を初めて見た時のお話を書きました。後編ではMariaさんと初めて会った時のことや、私が考えるMARIA RUDMANの魅力について書いてみようと思います。

The Swedish ClubでのMariaさんとの出会い


私が仕入れ旅行のときに使っているバックパックとキャリーケース。

当時のMariaさんのショールームはThe Swedish Club(北欧にゆかりのある企業家のための建物)の中、パリの一等地にありました。

ルー・ドゥ・リヴォリ通りというココ・シャネルが通っていたアンジェリーナという老舗のカフェがあったり、ルーヴル美術館の前のチュイルリー公園があったりする場所の、とても歴史のある建物です。

初めてMariaさんに会った時の感動は、いまだに忘れられません。会った瞬間の笑顔からとっても素敵で、全てを包み込んでくれる、ものすごくピースな雰囲気が全身から出ていました。

あそこまで温かいエネルギーで満ちている人に会うことはめったにありません。職業柄色々な人に会いますし、世界中を旅する中で色々なバックボーンの人とも会いますが、Mariaさんのような人はかなりレアです。

話していくうちに、Mariaさんがその時私がつけていたネックレスを指差して「とても素敵ね。どこかで見たことがあるわ」と言いました。

私がSHARE SPIRITの片野光さんに作ってもらったものだと説明すると、「友人とのつながりで光さんと知り合って、仲良くなったの」と話してくれました。

友達の友達だということで、私とMariaさんも一気に打ち解けて、最終的にMARIA RUDMANの取り扱いにもOKをもらうことができたのでした。

MARIA RUDMANが現代の人たちに受け入れられている理由


手前の2つがオーセンティックライン、一番奥がベーシックラインの作品。

最後に、私が思うMARIA RUDMANの作品の魅力の一つについて、書いておこうと思います。それは伝統をアップデートして、現代の人たちが受け入れやすいように進化させているところです。

彼女はラップランドというスウェーデンやノルウェー、フィンランドの北部に広がる地域の出身ですが、そこは古くからサーミ人が住む場所でした。

スウェーデンの首都ストックホルムから車で8時間、深い深い森の中を走ってようやくたどり着くことができるところで、冬は湖が凍るほどの寒い地域です。

MARIA RUDMANの作品は、今もその地域に住んでいる職人さんたちが1つ1つ手作業で作っているものです(中にはスウェーデン女王の衣装を作る職人さんもいます)。

しかしMARIA RUDMANの作品と、16世紀ごろに作られていたDuodje(ドゥオッチ)には微妙な違いがあります。

ひとつは、使われている金属が当時の100%の錫(すず)ではなく、4%の銀が混ぜられたものを使っていること。これは金属アレルギーを起こさないためにEUが決めた法律があるからです。

もうひとつは、縫製の糸に当時の動物繊維ではなく、切れにくい繊維を使っていることです。

サーミの人たちであれば糸が切れても修理できますが、普通のお客さんにそんなことはできません。購入したお店に行けばMariaさんに送って修理してもらえますが、時間と手間がかかります。

動物繊維のように切れやすければ、修理の頻度も増えてしまいます。面倒に感じて使わなくなる人や、購入を諦める人も増えるかもしれません。そうなれば、サーミ人の伝統はまた途絶えてしまいます。

だから切れにくい繊維を使うことにした、とMariaさんは言っていました。


最も伝統的な作品に付けられる、カラフルな糸。

他にもきれいになめされたレザーを使っていたり、カラーバリエーションを増やしたり、新しいデザインを考えたりして、都会でもファッションとして洗練されて見えるよう、色々なモディファイを加えています。

本気で伝統を残すのであれば、大事なところだけをしっかり守り、それ以外は変化させていく柔軟さが必要です。Mariaさんがすごいのは、こうした柔軟さを持ち、本気で伝統を残そうとしているところにあると感じています。

実はDuodjeは一度文化として途絶えていたそうです。自分もサーミ人であるMariaさんはこれをもう一度復活させて、民族の伝統を残したいと考え、職人さんを見つけて再び作り始めたのです。

今となっては、Duodjeの文化を伝統として残していくことができるくらいにまで広まっているそうですが、それはMariaさんがサーミ人の文化をコツコツと世界中に伝えてきたからです。彼女の情熱や行動力には、本当に心からのリスペクトを感じます。

新しく入荷したCLASSIC COLLECTIONとSILVER COLLECTIONも、とても素晴らしい作品ばかりなので、ぜひ手に取ってご覧いただければと思います。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

【ONLINE SHOPのMARIA RUDMANの作品はこちらからご覧になれます。クリックすると表示されます。】

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